【DTFプリンター検証レポート】印刷速度、ランニングコスト編

「DTFプリンターPT-Jet DTF-60s/P628D」の特徴の解説、および印刷速度、ランニングコストについての検証結果をレポートします。

DTFプリンターPT-Jet DTF-60s/P628Dのまとめ」に本レポートのポイントをまとめて記載しました。

DTF-60s/P628Dの特徴

現在判明している「DTF-60s/P628D」のスペックや特徴は以下の通りです。(2022/2/17現在)

1.日本製(国産プリンター)

まず最初に、DTF-60s/P628D日本製(国産プリンター)です。
日本のプリンターメーカーが製造で、STS Inks社(USA)向けのOEMモノポリ商品です。(この供給元しか手に入りません)
つまり、STSインク社向けの専売モデルなのです。

STS社(1999年設立)は大判インクジェットプリンター用のインク専門メーカーで、欧米を中心に広く実績があります。
なお、このプリンターDTF-60s/P628Dは、欧米で既に800台を超える販売実績であるとのことです。

特筆すべきこととして、このプリンターDTF-60s/P628Dエコテックス(OEKO-TEX)認証を取得した高品質インクを使用し、インクの使用量を抑えた省エネ仕様のプリンターだということです。 

※世界最高水準の環境保護基準に基づく安全基準

2.新機能のインク:ライトシアン/ライトマゼンタ

DTFプリンターの新機能として、インクにライトシアン/ライトマゼンタを使用する方法があります。

その理由は、白や淡色の素材に「白インク無し」で転写するためです。

濃色素材にプリントする場合と違い、プリント対象(素材)のデザイン部分を覆い隠す必要がないからです。

白インクの代替としてライトシアン(インク)とライトマゼンタ(インク)を利用することで、インクの全消費量を抑えて、パウダーの塗布に必要な機能とインク量を保ちます。
ライトシアン(インク)とライトマゼンタ(インク)には、樹脂であるパウダーを付きやすくする機能を備えているからです。

というのは、通常のCMYK+W(白インク)での印刷の場合、パウダーを塗布するという目的以外に、プリント面である素材の色を隠すために白インクを画像全面に印刷する必要があり、CMYKインクに比べて白インクの消費量が大きいからです。

白インクがあることで、素材の色に関係なく、プリントすることが出来ますが、白・淡色布地の場合は、必ずしも白インクを使用する必要はありません。

ただ、通常たとえ白生地であっても、CMYKインクのみでは転写プリントに適わずライトシアン(インク)とライトマゼンタ(インク)があることで、パウダーを受け止めるために必要な機能と最低限のインク量を保ちます。

そして、これによりインクコストの大幅ダウンと印刷速度の大幅アップをもたらし、更に印刷の色域向上にも繋がります。

実際に「白インク有り」と「白インク無し」を比較するために、白い生地に転写プリントしてみました。

白インク有無の違いは判りますが、プリントの発色はほとんど同じです。

参考までに、黒い生地に「白インクあり」もプリントしました。

※上左側のプリント写真と右のプリント写真は、同じ転写シートを使っています。

なお、出力方法に関しては、リップソフトで予め設定を登録しておき、カラープロファイルを選択するのみでよく、その都度難しい色調整の設定作業を行う必要はありません。

3.インク / フイルム / パウダー

最適な転写シートを製作するには、インク/フイルム/パウダーの適合性(最適な相性)が重要です。

  • インクは、パウダー/フィルムとの適合性を備え、フィルムから布地へ転写するために特別設計されたインクであることです。
  • フィルムは乾燥しにくく、白インクの重ね印刷が可能な特性が必要です。
    というのは、フィルムの種類によって受像層が異なり、受像層の吸湿等も変わるからです。
  • パウダーは、種類によって粒子の大きさが幅広く、風合い/適合素材/洗濯強度が変わります。
    パウダーの処理は、「手動でパウダーを振りかけ、オーブンを使用する」か「連結用のシェーカー(DTF-60s/S24A)」を使用しますが、この処理による仕上がりの違いはありません。
    パウダーには、「熱いうちでも剥がせるタイプ」と「冷めてから剥がすタイプ」があり、更にはプレス時間とも密接に関係しているため、パウダーの選定はプリントするために重要な要素となります。
4.インク吐出について

①DTF-60s/P628Dの使用経験からわかることとして、当インクはインクバッグ内で混ざりやすく、常時循環や攪拌の必要性がないということです。また、ヘッドの目詰まりが起こりにくく、廃インクも少ないです。日々の運用では、使用前のヘッドクリーニングの「インクの微量充填」を3回程度行うこと(約6分程度)で使用出来ています。

なお、メッセージが出た時に手動で攪拌を行うなど、必要に応じてクリーニング(2分×3回)を行います。(通常は1日以上不要です。)

現実的には、印刷開始前にノズルチェック(微量充填)を行っていただくだけでよい場合も多く、状況に合わせてチェックして頂ければよいかと思います。

なお、万一「保守」が必要になった際は、弊社及びメーカーによる対応を行いますので、不安を解消して頂けるのではないでしょうか。

インクバッグ内が真空状態なので、気泡がなく目詰まりする恐れを大幅に軽減します。

当然気泡を抜く必要もないため、余計な脱気装置を装備する必要もありません。

③DTF-60S/P628Dの場合は、バリュアブルドットタイプで、大/中/小サイズを使い分けるようインクの吐出がコントロールされているため、インクの消費量が少なくなります。

インク消費量が一般機に比べて約3割少なくて済みます。

(主な中国のDTFインクジェットプリンターは、大サイズのみである場合が多いです。)

④印刷時には、白インクのはみ出し防止対策として、リップソフト上で白インクのシュリンクを0.01mm単位で調整することができます。

これは、インクの特性ということではなく、リップソフトでの「白インク」操作になります。

5.印刷速度 一日での転写シート製作量

A3サイズ1枚当たりの各製造工程での所要時間は、以下を目安にしてください。

6.ランニングコスト

インク価格自体は高めですが、消費量が少ないため、他社製と比べてむしろ割安であると言えます。

また、インク/フイルム/パウダー合わせてのコストは、白インクを使用する場合と使用しない場合では大きく異なります。

※数値(コスト)は画像によって異なるため、一例に過ぎませんが、下記にインク使用量のデータ例を表記します。

《参照資料 ※プリンター インク消費量データ》

7.DTFプリンターの廃インクコスト

そもそも廃インクがあまり出ないプリンターですが、メンテナンスのために行うクリーニングでのコストを計ってみました。

《試算例》

・作業前にクリーニング3回行い、40mを出力しました。

・排出したインクは、約100ml(2,400円)です。

フイルム40m=A3 192枚であるため、A3 1枚当たり約13円(約6%)程度の廃インクを消費したことになります。

1日の作業前にクリーニングを3回行っており、実際には、40mを超える出力も可能であったかもしれませんが、1日の作業分とみなしてコストを測ってみました。

なお、今後の改善予定として、白インクの白度をアップグレードするとの情報も得ており、コスト面への改善に繋がることになるでしょう。

DTFプリンターPT-Jet DTF-60s/P628Dのまとめ

PT-Jet P628Dは、日本製プリンターです。

日本初(2022年/1月)の高品質なDTFプリンターで、安定して運用してもらえる機種です。

PT-Jet P628Dは、プリンターメーカーの武藤工業よりインクメーカーのSTS社向けに特別に認定されたOEMプリンターとなります。

標準機と異なり、低粘度の水性インクを使用するDTFに合うよう武藤工業によってデザインされたプリンターとなります。

  • 日本製・エコテックス認証・高品質インク・省エネ仕様。
  • 白生地対応としてライトシアン(インク)とライトマゼンタ(インク)を利用し、インクコストの大幅ダウンと印刷速度の大幅アップ。
  • 最適なインク ・フイルム ・パウダーの組み合わせ。
  • インクバッグ内が真空状態で、しかも混ざりやすいインクであるため、常時循環や攪拌の必要性がない。
  • ヘッドの目詰まりが起こりにくく、廃インクも少ない。
  • インク消費量が一般機に比べて少ない。
  • 印字速度は、3.0㎡ /h (6pass)で、A3換算で約24枚/時間。
    一日(8時間)でA3 約200枚(A4 約400枚)
    の転写シートを製作。
    白・淡色生地用途であれば、一日(8時間)でA3 約300枚(A4 約600枚)
    の転写シートを製作。
  • ランニングコスト事例

  ・白インク有の場合:CMYK+WW(ホワイト):                    A3サイズ 170円

  ・白インク無の場合:CMYK+LC(ライトシアン)+LM(ライトマゼンタ):A3サイズ 128円

  • クリーニングでの廃インクコストは、13円未満/A3サイズ で済み、見えないコストとしても軽微。
  • 保守は軽量コンパクトなプリンターならではのセンドバック方式。
    パイオテックにて行ない、必要な場合は「メーカーによる」対応が行なわれる。
DTFプリントについて

■低温(120℃) で転写が可能で、様々な素材への転写が可能です。

■ホットピール可能な「両面コート」仕様のフィルムを企画中。

ウェアプリントの新規事業者こそ『DTFプリンター』をご検討頂くのが、ベストな選択となるのではないでしょうか?!


※当レポートは、2022/2/17時点の情報開示です。今後も、様々な試作と検証を行い、情報のアップデートを行ってまいります。

パイオテック株式会社について

トナー転写・昇華転写や溶剤インクジェット転写及びラバープリントを中心に、各種熱転写を創業以来、長年手がけてきた弊社が、DTFプリンターの販売をスタートしました。

弊社はウェアプリント用の機材・資材の専門業者であり、熱転写のプロならではの最適なアドバイスをさせて頂きます。

特に、洗濯堅牢度に大きな影響を与える転写温度やプレス回数については、突き詰めた検証を行っております。

通常のプレス条件でボディにDTF転写するだけでなく、例えばプレス温度を100℃と極端に低くしたり、プレス回数を1回にしたりと各種条件で試したのち、100回洗濯して耐久性をチェックするなど、テストを繰り返し、それをお客様にフィードバックさせて頂きます。

そして弊社では、無製版&カス取り無しでフィルムにベタプリントしてDTF転写し、シルクスクリーン印刷やラバー転写と同じような仕上がりを再現しました。

よってシルクスクリーン印刷やラバー転写の代用も可能です。

また、ナイロン撥水布、エナメル、六面パネルの帽子、PU等の合成皮革、雨傘、目の粗いニット製品等、様々な素材へのDTF転写をトライし、細かなノウハウを積み上げ続けております。

今後も、品質向上とインクのコストダウン及び印刷速度のアップ等を追求してまいります。

DTF転写は新たな製法だからこそ、こうした細かい検証が重要になります。安心して新製法を導入したいというウェアプリント業者様は、ぜひ弊社にご相談ください。

※記事中の機材は、企画中のものを含みます。随時情報を発信してまいりますが、導入をご検討の際は弊社営業に最新情報をご確認ください。
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